「企業・組織内でなぜ対話/ダイアローグが  必要なのか?」~ 後編 ~

前回の記事(2月18日発行)の最後に触れた、対話を生み出す秘訣とは何でしょうか?

ここで言う秘訣は、いくつかの要素が相乗的に作用し合って生まれます。
それは、対話を生み出す土壌になっているメンバー同士の関係性、メンバーがどんなモード(あり方)でいるのか、そして、メンバーの聴き方のコツ(技術)、です。

まずは、見えやすくわかりやすい聴き方のコツから紹介します。

前回少し紹介したように、対話の状態では自分の意見を守ったり、押し通したりすることはほとんどありません。
なぜなら、そこにいるメンバーの聴き方に大きく影響を受けているからです。

では、その聴き方とは何か。

それは、相手が話していることを評価/判断をはさまずに、ただそのままに受け取るように聴くことです。

議論や普段の会話では、相手が話しているそばから、その話が面白い、つまらない、合っている、間違っている、わかりにくい、などと常に頭の中で評価/判断を走らせながら聞いています。

対話では頭の中で評価の声をちょっと脇において、なるべく評価の色をつけずに相手の話をそのままそこに置いておく感じです。

そうすると、意見を述べる方は自由にのびのびと話ができます。
思いついたアイデアを、すぐにまとまっていない考えも思い切ってその場に出すことができるのです。

次に、対話の場にいるメンバーのモード(あり方)です。

議論の場では、自分の意見を守ったり、押し通したりするために、相手より優位に立つ必要がありますから、その状態はいわゆる戦闘モードになります。
つまり、相手の粗を探し隙あらば攻め込む、またはボロを出さないように理論武装して、言い間違いのないように脇を固めているような状態です。

対話では、心がオープンで開かれています。
そこに出てくる様々な考えや意見に対して、好奇心旺盛で尊重し合うようなムードがあります。

最後に、メンバー同士の関係性を見てみましょう。

対話では、お互いへの信頼があります。
どんな考えも尊重され、大事に扱ってもらえるという安心感がそこにはあります。
そして、お互いに協力して新たなアイデアを見つけ出そう、という協力する気持ちもあります。
議論では、相手を仮想敵とみなしているかもしれません。

このメンバーのモード(あり方)とメンバーの関係性を土壌で喩えると、議論は固く乾いた土、対話は湿ったふかふかの土といえます。
どちらの芽が吹きやすいかは言わずもがなだと思います。

以上のように、

・評価/判断をしない聴き方
・オープンマインド、好奇心
・信頼と安心感

が存在する時、対話の場から豊かなアイデアや発想が生まれやすくなります。

以上のような秘訣を参考にしていただいて、対話している人と人の間に生まれる智慧が引き出され、企業・組織の現場で活用されることを願ってやみません。

 

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