コーアクティブ・ビジネス会話術

上司が話す量を5分の1にすると部下のやる気があがる

ウエイクアップリーダーズマガジン編集長の平田淳二です。

今号はCAOについてお伝えしたいと思います。

CAOはCo-Active Approach for Organizationの略称でコーアクティブ・コーチング(R)を企業に適した形で導入したプログラムで、2日版と3日版があります。

今回はCAOの企業研修でよくある事例をトーレナーかつ企業担当リーダーからお伝えしたいと思います。そう、今回は私が担当です。
コーアクティブビジネス会話術7

ウエイクアップリーダーズマガジン編集長
CTIジャパンリーダー
平田淳二

「上司が話す量を5分の1にすると部下のやる気があがる」
部下が困っている時に、上司として、先輩として話を聴くことがあると思います。
「なんか困ってるのか?俺でよかったら相談にのるよ」
この一言が言えるだけで、素晴らしい上司、先輩です。
実は部下が困っている状態に気づくだけでも、しっかりと部下のことを見ることができているので誇れることです。
ただし、その相談の対応でほとんどの場合、上司は話しすぎです。
特に、よくあるケースは、相談されたら嬉しくなって、聴かれてもいない自分の過去の武勇伝を話し出したりします。
あなたの武勇伝を聴きたい部下はほとんどいません。

嬉しそうにその話を聴いている部下は、あなたに気を使っているケースがほとんどです。
では、あなたと部下の会話量はどれぐらいの割合でしょうか?

1:1ならかなり傾聴ができている方だと思います。

ほとんどの場合上司5:部下1ぐらいじゃないでしょうか

もし、部下を成長させたい、チームが活発に意見を出す雰囲気を創りたいのなら、話す量を今の5分の1にしてみてください。

そして、会話量を減らす代わりに何をするのかというと、拡大質問をするのです。拡大質問はYES NOで答えられない質問です。
「◯◯さんはその事例についてどう思う」
「◯◯さんはその案件をどう進めていけばいいと思う」
質問をすると、部下は自分の意見を話しだします。

その意見に対して、「いいですね」と肯定して、

何かアイデアが足りなかったら「更にこうするのはどうだろう」と追加するのです。
このやりとりは、上司も1から100まですべて説明する手間が省け、部下も自分の意見を採用されて、両者WINWINの対話になっていきます。

そして、拡大質問は会話の焦点が部下自身にあたるので部下の主体性もでてきます。
ぜひ、自分の会話量を減らしてじっくりと部下の話を聴いて見てください。部下のやる気が変わるのが、手にとるようにわかると思います。

では、行動の第一歩として、このメールを読んだ後に最初に話す部下との会話でどちらが多く話しているかを意識してみてください。
目指せ5分の1です。

 

コーアクティブ・ビジネス会話術 「会話の中で、自然にコーチングを使う方法」

コーチングを学んでいる人から、「ビジネスの現場で自然にコーチングをするにはどうしたらいいでしょうか?」という質問をよく受けます。
私は、

「コーチングは自然な会話ではありません。コーチと
クライアントのお互いが協働関係を創って行う会話
なので、通常の会話とコーチングは違います」

と答えています。

通常の会話ではなく特殊な会話なので、コーチングに精通したプロのコーチという職業があり、コーチングをすることによって報酬を得ることが可能なのです。

ただし、こういった前提がありつつ、通常のビジネスの会話でコーチングをしたいというニーズも少なくはありません。

そこで今回は、コーチとクライアントでコーチングをするという正式な場以外で、コーアクティブ・コーチングを実際に行うコツをお伝えします。

まず、コーチングが実際に機能しやすい場をあげると、面談の場です。
1年あるいは半年に1回の目標面談では、上司と部下という立場で行うケースが多いと思いますが、こういった場面では通常の会話よりも、よりコーチングが機能する場が暗黙の合意の中で出来上がっているケースがほとんどですので、積極的にコーチングスキルを使うと良いのではないかと思います。

そして、面談ではなく、通常のビジネスの会話でコーチングを使う場合は、ぜひ「許可取りのスキル」を使ってください。

ここで重要なのは、相手の許可を得ながら話を進めるということです。

例えば、何か相談をされた時に、

「そういった相談は、コーチングをさせてもらうとより良い
答えが見つかると思うので、よかったらコーチングを
させてもらえないかな?」

など、一言相手に許可を得ることによって、相手の心の準備が変わってきます。

また、コーチングを学びたてでよく失敗する例として(私は多く経験しました)、通常に会話をしている最中に、拡大質問や要望などのコーチングのスキルをいきなり使用して唐突感を与えてしまい、相手に不快な思いを経験させてしまうことです。

コーチングで傾聴を学び、人の話を傾聴すると、深い会話になる時がよくあります。
そういった深い会話になると、コーチングを学んでいる人は、善意でコーチングのスキルを使用したくなります。

そんな時こそ、許可取りです。

【例】
「よかったら少し質問させてもらってもいいかな?
○○さんの役にたつかもしれないから」
「今、コーチとして関わらせてもらったら話しやすいと
思うけど、どうかな?」

など、許可取りをしてからコーチングのスキルを使うということを試してみてください。

コーチングを通常の会話で使う場合、大事なポイントは「相手との関係」です。
相手がしっかりとコーチングを受ける状態でいないとコーチングは本来の力を発揮しないので、ぜひそのことを意識してみてください。

 

 

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コーアクティブ・ビジネス会話術 「『いいね』の習慣 」

「でも」「しかし」という言葉は、仕事をする上で人間関係の形成には良くないと知っていても、つい使ってしまうことはありませんか?

人は、自分の意見と違う場合や、もっといい意見やアイデアがある場合、無意識的にこの言葉を使うことが多くなります。

特にビジネスの現場では、より良い問題解決策やアイデアを短時間で考えなければいけない場面が多いので、否定的な接続詞を使いがちです。

否定的な接続詞が悪いと言っているわけではありません。
ここでお伝えしたいのは、ビジネスにおける会話では否定的な接続詞を使うことより、

“肯定的に受け止める”

という会話手法がとても有効だということです。

肯定的に受け止める会話術では、相手と意見が違う場合や自分の想定とは違う意見が出た場合においても、否定的な接続詞の「でも」「しかし」を使わずに、肯定的に「いいですね」「いいね」という言葉で会話をします。

これは、相手が話した内容が一見良いと思えなくても使うことがポイントです。

意見を表明した時に「でも」「しかし」で返されると、出した意見を否定された感覚を相手に与えます。
自分が意見を出した時に、常に「いいね」と受け止めてもらえると、相手に対して親近感や安心感を持つことができますし、意見を出しやすく主体的な行動にもつながります。

そのために、まずは「いいね」という言葉で会話をしていくのです。

ただ、意見が違う時に「いいね」というのは難しいことです。
意見が違うときに、「いいね」と肯定的に受け止めるコツは、相手の意見のすべてを「いいね」と言わなくても良いと知ることです。

意見が出た場合、ある一部分でも「いいね」と伝えることは可能です。

例:「そのアイデアの最初の部分はいいね」

また、何も良い点が見つからなかったとしても、意見を出すことだけにも「いいね」と伝えることができます。

例:「いいね、積極的に意見を出してくれたことがありがたい」

そして、この「いいね」を使いこなす最大のポイントは、習慣にすることです。

どんな時にも、「いいね」からスタートしてみてください。
そこに「なぜいいのか」まで伝えられると、言葉にも信頼感が増し、おそらく部下や同僚から頼られる存在になっていくのではないかと思います。

 

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コーアクティブ・ビジネス会話術 「部下に強み・持ち味を伝える3つのポイント」

もし、自分の上司や先輩に自分の強みや持ち味を伝えられたら、どんな気持ちがするでしょう?

おそらく、悪い気持ちにはならないと思います。

この人は、自分のことを理解してくれる、しっかり見てくれる人だという印象になるのではないでしょうか。

コーアクティブ・コーチングでは、コーチングの中で、

「相手の価値観(本人が大切にしていること)を聴き取り、それを言葉にして伝える」

ということを行いますが、部下との会話の中でも、モチベーションアップや信頼関係を強める会話として応用できます。

部下の強みや持ち味を伝えるポイントは、以下の3つです。

1. 実際の仕事の良い成果(事実)や強みを伝える

ここでのポイントは、「言葉にして伝える」ということです。
実際に言葉で伝えられることによって、伝えられた側は実感値が高まっていき、さらにモチベーションがあがっていきます。

例: 「橋元君は、最近のアンケートで、受講生からわかりやすいという評価が多くなっているね。いつも事前準備をしっかりやっているから、結果となって出てきているのだろうね」
2. 部下の価値観を伝える

部下の仕事をよく見ていると、部下が何を大事にして仕事をしているかがわかってきます。
自分自身が大事に思っている価値観を言葉にして伝えられるということは、それだけでも嬉しくなりますが、自分のことを見てくれている、知ってくれているという信頼感の醸成にもなります。

例: 「橋元君の研修を見ていると、受講生との‘つながり’をとても大事にしていると感じるよ」
3. 伝える時の意識

伝える時に、心がこもっていない言葉は、どれだけ良い内容の話をしても伝わりません。

「本音で相手の強み・持ち味を伝える」

これがポイントです。
実際のビジネス会話術の研修では、受講生一人一人に、「誇れる仕事」を語ってもらいます。
自分自身が誇れると思う仕事の中には、その人のこだわりや、何を大事に思って仕事をしているのかが入っています。

もし面談などで、部下とじっくり話す機会があったら、今年の「誇れる仕事」を聴いてみてください。
その話を聴きながら、価値観を直接伝えてみてください。
そして、この会話術には、大きな副産物があります。

それは、相手の強み・持ち味を伝えている自分自身への影響です。
部下の強みや持ち味を伝える時に、おそらく自分自身の心が温かくなるのを感じることができます。

そうです。
この会話術は、伝えている自分自身も元気が出てくる会話手法でもあるのです。

部下のモチベーションアップや信頼関係を強めるだけではなく、ぜひ自分自身のためにも使ってみてください。

 

 

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コーアクティブ・ビジネス会話術 「部下の指導における傾聴のポイント」

職場での会話で意見の違いが出てきた時に、皆さんはどのように会話をしますか?
 
コーアクティブ・コーチングでは、相手に意識を集中して傾聴することをコーチの傾聴として伝えていますが、職場ではどうでしょう。
 
傾聴の大事さはわかってはいるけど、傾聴できないケースなどはありませんか?
 
例えば、部下の意見が自分の思っていることと違う場合や、部下の報告に不満がある時はどうでしょうか。
すぐに、部下の意見をさえぎったり、自分の意見を押し付けたりしていないでしょうか。
そうすると、部下との信頼関係や部下のモチベーションを下げる要因になりかねません。
 
それでは、どうしたらいいのでしょうか。
 
意識してもらいたい傾聴のポイントは、「一旦、受け止める」という傾聴です。
会話の中でたとえ意見が違っていたとしても、「一旦、受け止める」を意識した傾聴をすると、相手はしっかりと話を聞いてくれた感をもちます。
部下への指導は、「一旦、受け止める」から「人に焦点」を当てていくのがポイントになります。
 
ただ注意する点として、部下の意見をすべて受け入れるということではありません。
部下の意見をしっかりと聴く、まずは、受け止めてから、自分の意見を伝えるということです。
 
対話例をご紹介しますので、ぜひ職場での会話として参考にしてください。
 

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<悪い例>

部下: ウエイクダウンへの営業の事なのですが、なかなか
    上手くアプローチ出来ておらず、これからどう進めて
    いったらいいでしょうか?

上司: その話、前も同じようなことで相談してきたよね。
    あの時指示したことはやったの?

部下: はい、それはやってみましたが、思ったほどには
    うまくいっていなくて、私としてもなんとか食い
    込みたいと・・・

上司: (途中でさえぎって)
    今日はどんな話をしに行ったの?

部下: 今日は雑誌広告のお願いです。

上司: それって順番が違うだろ。Web広告については
    どうなってんだ?

部下: はい、それはまだ・・・

上司: だから進まないんだよ。何度かこのことは指摘して
    るよな。なんで指示通りに動かなかったの?
    (過去の原因分析で詰める)

部下: (萎縮して)ええ、確かに・・・。
 

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<良い例>

部下: ウエイクダウンへの営業の事なのですが、なかなか
    上手くアプローチ出来ておらず、これからどう進めて
    いけばいいでしょうか?

上司: ウエイクダウンかぁ。なかなか苦戦しているよう
    だね。(一旦、受け止める)

部下: はい、そうなんです。考えられる手は尽くしている
    のですが、どうも、担当者の懐に入り込めていない
    感じがしています。

上司: 努力してそういう状態が続くのは、橋本君(部下)
    も歯がゆいよな。(人に焦点)
    俺も経験があるよ。

部下: 課長もそういう経験おありなのですか!?

上司: もちろんだよ。じゃあちょっと一緒に対策を考えて
    みようか。

部下: はい、お願いします!

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ポイントは 「一旦、受け止める」傾聴です。
この傾聴があって、部下のやる気に繋がる「人に焦点」が生きてきます。
「人に焦点」とは、事柄や問題の話をするのではなく、その人の気持ちや思いに焦点をあてることです。
みなさんも職場で、ぜひ試してみてください。

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