2016年 10月 の投稿一覧

チームの中で対立が起きた時、リーダーにできること

自分の部署やチームは調和のとれたパーフェクトな状態ですか?

そんなことはないですよね。

組織で仕事をするときは、なにからしらの対立が起きたりするものです。

今回は、そんなときリーダーであるあなたができることがテーマになっています。

株式会社ウエイクアップ
CRRジャパン トレーナー/CLO 森川有理
CRR ジャパン トレーナー   佐藤扶由夫

「チームの中で対立が起きた時、リーダーにできること」

チームの中で「対立(コンフリクト)」が起きると、リーダーとしては正直焦りますよね。

ミーティングで違う意見を持った2人がヒートアップして収拾がつかない

あるプロジェクトに2つの部署から入れたメンバー同士が仕事のスタイルのすれ違いで雰囲気が悪くなっている

「めんどうなことになったな。なんとか収めて、先に進めるか」そう思うのも当然です。

しかし、「まぁ、とにかく落ち着いて」とか「大人なんだからうまくやってくれよ」などとりなしたり、いさめたりしたとしても一時的には静まるかもしれませんが対立の炎はくすぶり続けることでしょう。

既にお気づきと思いますが、たとえビジネス上のことであっても、こうしたケースの大半は「感情」が影響しています。

「大人なんだから、感情なんかコントロールして淡々と仕事するものだ」と思われた方、まずはご自身を振り返ってみて下さい。

これはいける!と思いを込めて提案したアイデアをチームメンバーに全く理解してもらえなかった時

プロジェクトでこの進め方が最適だとしか思えないのに別なやり方で推し進めようとするメンバーを見た時

何かしらザワザワと感情が湧いてきませんか?

それは憤りのような強い感情かもしれませんしあきらめのような内側に篭る感情かもしれません

もちろんビジネスパーソンとしては一定のセルフマネジメントは必要です

しかし、それが自分の大事にしていること、こだわり、哲学などに触れていればいるほど感情が動くのは人として当然のことです

そして、その感情を「無い」ことにして取り扱わなかったとしてもパフォーマンスになんらかの影響を及ぼすのは明らかです。

「あの人がいるミーティングではもう本音は言えない」
「あのメンバーに話してもどうせ理解してもらえない」

そんな思考が背後にあるチームでは生産性の高い議論や創造的な仕事は望めません。

では、冒頭のような対立の場面に遭遇した場合、リーダーとして何ができるのでしょうか?

万能薬となる解決法はないかもしれませんが、お勧めしたいのは

「対立しているメンバーの感情をリーダーが聴いてあげる」

ということです。
いわゆるネガティブとされる感情こそ、聴いてあげるのです。

例えば、ミーティングで二人のメンバーの間に対立がある場合場を変えて二人一緒に面談をし、それぞれの「感情」をリーダーに対して話してもらいます。

この時のポイントは2つあります。

1つは「意見」や「出来事」ではなく「感情」にフォーカスすること。当人たちはもちろん「意見」や「立場」を話したがると思いますが、

「二人ともこれから先一緒にやっていく上で欠かせない大事なチームメンバーなので、今日はまずそれぞれの気持ちを聴かせてほしい」

としっかり目的を伝えて、当人が「意見」を話し出した時にも

「なるほど。で、どんな気持ちでいるの?」

とか

「そうか。思いがあるプロジェクトだからこそ残念な気持ちなんだな」

といったように「感情」にフォーカスし続けてください。

もう1つのポイントは「リーダーに向かって1人1人ずつ短く話してもらう」です。

「感情」についてお互いに話させると間違いなくヒートアップするので話は必ずリーダーに向かって話してもらいます。そしてもう片方のメンバーには横で黙って聴いていてもらうのです。

対立している相手の「感情」を聴くのは聴く側からするとしんどい時間でもあります。そこで一人ずつは短く、ただし何回か繰り返し話させてあげることが大事です。

これを繰り返すことで圧力鍋の中の蒸気が少しずつ抜けていくように少しずつそれぞれの気持ちの圧力が落ち着いてきます。

このタイミングで二人に問いかけて下さい。

「今、対立している部分もある二人だけれどもこの問題を乗り越えて一緒にプロジェクトを成功させるのは何故大事なのかな?」

「感情」が落ち着いたからこそ自分の真のこだわり、価値観を見つめ直して取り組み方や関わり方を考え直すスペースが生まれてきます

「感情」、特に否定的な感情は無いことにするのではなくむしろしっかりと表現してもらう。
ただし、リーダーが受け皿になって安心安全な場を創ることでマネジメントする

リーダーにとってはタフなアプローチかもしれませんが感情的なしこりを長く引きずり、腫れ物に触るように扱ったり対立があるのに力技で強引に前に進めていったりした方がずっと多くの時間やエネルギーを割くことに結果的にはなるのではないでしょうか。

「感情」に向き合ってマネジメントするこれからのリーダーに求められる新たなコンピテンシーです

2つのリーダーシップのかたち

こんにちは、ウエイクアップ・リーダーズ・マガジン

編集長の平田淳二です。

「私、経営者やマネジャーじゃないから、まだリーダーシップは関係ないかな」

といつも読みながら思っている方!

それは間違っています。
ビジネスでは、様々なポジションから、いろいろな方法でリーダーシップを発揮する方法がありますし、求められています。

今回は2つのリーダーシップのかたちを紹介します。

株式会社ウエイクアップ チーフケアテイカー

山田 博

 

~「前から」と「後ろから」の引き出し方~

今回は、コーアクティブ・リーダーシップの力の引き出し方の「前から」と「後ろから」を同時にご紹介します。

まずは、「前から」のリーダーシップです。リーダーが前に立って方向性を示したり、指

示を出す姿は馴染みがあって、よく見かけるものですね。

コーアクティブなリーダーシップでも、もちろんリーダーが力強くビジョンを示す場面もあります。

ただ、皆さんにこんな経験はありませんか?

練りに練った方針だし、どこからみても正しいと自信があるので、再三再四メンバーに方針説明し、行動を指示しているのに、思ったほどにメンバーが動かない。

そんな時、結果を出すために、さらに声を大きくして、指示を出し続け、自分もメンバー

も次第に疲弊していく。

私も営業マネージャーになりたての頃、まさにそんな経験をしました。

業績があがらず、もがくほどに悪循環に陥ってどうしてよいかわからない。

そんな時、リーダーはあらためてメンバーとの「つながり」を意識する必要があります。

それは、そもそもメンバーとの間に信頼があるのか、自由にものが言える雰囲気があるのか、

といったことです。

私の例でいえば、先ばかり見て焦っていて、目の前にいるメンバーのことを見ていないので、

つながりは薄れ、1人で空回りしていたわけです。

では、このつながりを創るには何が必要なのでしょうか?

まず、リーダーが自分をさらけ出す必要があります。自分の失敗を認めなかったり、本当は困っているのに、強がってばかりのリーダーとは心の距離が離れていきます。

逆に、自分の状態を包み隠さず、率直に表現していると、メンバーも近づきやすくなりますよね。

一方で、つながりは仲良しとは違います。メンバーと近づきたいばかりに、なんでも受け入れる態度を取っていては、ぬるま湯のチームになってしまいます。

時には、勇気を持って厳しいフィードバックを伝えることも重要です。それがメンバーの成長を思っての本気の言葉であれば、かえってつながりは強くなります。

リーダーがありのままの自分であって、率直なコミュニケーションが日常的にある時、信頼が深まり、つながりが生まれます。

そして、リーダーがつながりを保ちながら、力強く方向性を打ち出す時、チームは自ら動き出します。

次に「後ろから」のリーダーシップです。

誰でも、前面に立って進もうとする人を応援する立場を経験したことがあるのではないでしょうか?

たとえば、

子どもの成長を見守る親の立場。

部下に仕事を任せる上司の立場。

選手の活躍を声を枯らして応援する立場。

こういう立場の時に、どんなことがあると、応援された人は力が湧いてくると思いますか?

それは、相手を信じて疑わない気持ちと態度です。

親の立場でいえば、転んでしまいそうな時に、思わず手を差し伸べたくなるところをぐっと

こらえて、「必ずできる!」と信じて見守ること。

時にそれは忍耐が必要で、親としてつらい思いもするかもしれませんが、その見守る態度が、子どもを力づけます。

仕事を任せた上司の場合。

任せてはみたものの、成果があがるかどうか気になってしょうがない。ついつい出だしをしてしまい、部下の不信を買う。そんなことが起きがちです。

失敗を通じて学び、きっと成長すると信じて黒子に徹すること。

部下が意気に感じて力を発揮するにはそんな環境ではないでしょうか。

オリンピックの競技後のインタビューで、選手達から口々に、「皆さんの応援に力をいただきました。」という言葉が出てきます。

勝利を、記録を信じて疑わない気持ちが、見えない力で後押ししています。

これらは、すべて「後ろから」のリーダーシップです。

惜しみなく奉仕するリーダーがいる時、前面に立つ人は力づけられ、思い切って一歩を踏み出すことができます。

また、ウエイクアップが提供している「コーチング」もこの「後ろから」のリーダーシップのひとつの表現です。

コーチがクライアントの可能性を信じて、クライアントの言葉を評価判断せずに心から耳を傾ける時、クライアントは未知の領域にリスクを取って行動できるのです。

リーダーは時と場合によって臨機応変に「前から」と「後ろから」のリーダーシップを行き来する必要があります。

自分が自然に力を引き出せるのはどちらなのかを自覚していくことで、苦手な方を意識的に磨いていく助けにもなります。